先日、電池に発生する緑色の粉(緑青)についての記事を書いたのですが、今回は緑ではなく白い粉(結晶)が発生していた場合についての内容です。
ちなみに緑青というのは銅から発生するサビの一種で、基本的に無害であり素手で触ってもとくに問題はありません。しかし、今回お伝えする白い粉に関してはまったくの別物。
詳しくは本文で解説しますが、白い粉は大変危険な物質なのです。
ということで今回は、「電池に発生する白い粉の正体と対処法」についておまとめしてみました。
古いおもちゃや家電の電池ボックスがえらいことになっているあなた、この記事でばっちり対策方法を理解していってください♪
白い粉の正体は結晶化した劇物です!
実は、あの白い粉の正体はサビなどではなく、なんと電池の中身なんですヽ(゚Д゚*)ノ
電池には電気を発生させるために「電解液」という液体が入っていてるんですが、それが外に出てきて酸素に触れると結晶化して、あのような白い粉状になるというわけです。
電解液は素手で触ると化学やけどを起こす危険性のある劇物なので、基本的に素手で触るのはNGです。この記事ではこのことが一番重要なので覚えておいてくださいね!
さて、なんでそんな危険な電解液が外に出てくるんだと思うかもしれませんが、そもそも電池というのは内部にガスがたまってきて危険な状態になると、爆発しないように中のガスが抜けるような構造になっています。
そして、その時一緒に電解液まで外に出てきてしまうというわけなんです。いわば安全措置の副産物です。
ここで電解液についてちょっと補足しておきましょう。そんなの別にいいやという人は読み飛ばしてもらってもかまいません。電解液が危険なものだとわかってもらえれば十分ですから。
では、ちょっとマイナーな雑学を。
実は、電解液は電池の種類によって中身が違います。わかりやすいところでいうと、マンガンとアルカリ。どちらもなじみ深い電池ですが、中身が違っていたりします。
まずはアルカリ乾電池からいきましょう。アルカリ乾電池の中に入っている電解液は「水酸化カリウム」という物質で、水に溶けるとかなり強いアルカリ性になります。
先程お伝えした通り、素手で触れたまま放置していると化学やけどを起こしてしまうほどの劇物です。
一方、マンガンの乾電池に入っているのは「塩化亜鉛(水溶液)」という物質で、こちらの性質は弱酸性となっています。
弱酸性というとなんだかお肌に優しいように聞こえますが、別にそんなことはありません。アルカリの電解液に比べればかなり優しいですが、それでも素手で触ったまま放置しても良いというわけではないですのでご注意を。
ちなみに、繰り返し使えて便利な充電池に入っている電解液は、アルカリと同じ水酸化カリウムとなります(´・∀・)ノ゚
手についたり服についた時の対処法
先程からしつこいほど書いていますが、電解液は皮膚を溶かすレベルの劇物。特にアルカリ乾電池に入っている水酸化カリウムには要注意です。
ここではその危険な電解液に触れてしまった場合の対処法についてお伝えしていきましょう。どちらの電解液でも同じ対じ対応でOKです。
・すぐに大量のきれいな水で洗い流す
たかが水と思うかもしれませんが、電解液は水溶性なので、大量の水で洗い流してしまうのが効果的です。
● 目に入ってしまった場合
・すぐに大量のきれいな水で洗い流し、すぐに眼科を受診
目に入った場合は非常に危険です。下手すると失明の危険性があるので、軽く考えずにすぐ行動してください。とにかくよく洗って眼科です!
● 衣類についてしまった場合
・すぐに脱いで大量の水で洗い流す
服を脱ぐ時に電解液が服につかないように注意しましょう。大量の水で洗流した後は普段どおり洗濯して問題ありません。衣類の素材によっては変色したり、生地が劣化してしまう場合もあります。
● 床や家具についてしまった場合
・手袋をはめてウェットティッシュなどで拭き取る
電解液が手につかないように、ビニールやゴムの手袋をはめてから作業しましょう。目に見える電解液を拭き取っと後、ゆるめに絞った雑巾などでさらに拭き取ります(数回)。ちょっとしつこいくらいに掃除する方が安心です。
これらの対処法に共通しているのはすぐに大量の水で洗い流す(中和する)ということ。早ければ早いほど良いですので、ミスったなと思ったらすぐ行動に移しましょう(`・ω・´)ノ
電池ボックス内の掃除と電池の捨て方
液漏れした電池は捨てるとしても、家電やおもちゃ本体まで捨ててしまう必要はありません。電解液が中にまで入ってしまって故障している場合は別ですが、基本的にはお掃除すればまだまだ使えるはずです。
まずは、お掃除の下準備を。
【お掃除の手順】
① 手袋とゴーグルを着用
液漏れした電池を処理するための防護アイテムを装備しましょう。
電解液が白い粉状に結晶化したものは、バラバラになって空気中飛散することがあります。それらが目や口に入らないようにするためのゴーグルとマスクなのです。ちょっと大げさだとは思いますが、相手が劇物なので油断は禁物です。
また、お掃除する際に細かい破片が床に落ちてしまう可能性もあるので、床には新聞紙などを敷いておく方がベターです。
② 液漏れした電池をはずす
液漏れが酷い場合はちょっと固くなっているかもしれませんが、焦らずゆっくりそーっと電池をはずしましょう。乱雑にして結晶化した電解液が飛び散っては元も子もありません。
③ 液漏れした電池を処理する
ティッシュペーパーに包んでビニール袋に入れます。お住まいの自治体の指示に従って処分してください。ネットで調べればすぐにわかりますよ。
④ 電池ボックスを掃除する
結晶が飛び散らないように、濡らしたティッシュで優しく白い粉を拭き取っていきます。細かい部分は濡らした綿棒を使えばOK。電解液は水溶性なので水だけでも十分キレイになります。
※ 緑色の粉が発生している場合はまた別の状態です。これに関してはこちらの記事にくわしくまとめてありますので、参考までにご覧ください(`・ω・´)ノ
液漏れを防ぐために知っておきたいこと
電池が液漏れを起こすことで、このようなめんどくさい状態になるわけですが、そもそもどうして電池は液漏れを起こすのでしょうか。
最初の方で内部にたまったガスを逃がすついでに液漏れを起こすと説明しましたが、ここではさらに突っ込んで原因をお伝えします。
① 過放電させた
おそらくこれが一番多い原因だと思います。過放電は簡単に言うと、使い終わった電池を入れっぱなしにすることで起きる現象です。過放電が進むと内部に水素ガスが発生し、それが一定量をこえると安全弁が開きます。で、液漏れとなるわけですね。
② 電池を逆向きに入れた
すぐ気づけば問題ありませんが、逆向きに入れたままだと普通の電池が充電されたような状態になり、これまたガスが発生します。
③ 新しい電池と古い電池を一緒に入れた
これはけっこうやってしまいがちですね。これについては今回調べてみて初めて知ったんですが、新しい電池と古い電池を一緒に使うと、古い電池が新しい電池に合わせて頑張り過ぎるため、古い電池に負担がかかるそうです。その負担がいずれ液漏れへとつながっていくようです。
④ ショートさせた
なんらかの原因で電池をショートさせると、大量の電気が一気に流れるため、そこに大きな熱が発生し、液漏れや破裂の原因となります。
電池を電池ボックスに入れる際、マイナス端子(バネ状の端子など)をひっかけてラベルを傷つけてしまった場合にもショートは起こります。
⑤ 長期保管(経年劣化)
これは未使用電池にも言えることですが、使用推奨期限を過ぎて長期保管していた場合にも液漏れを起こすことがあるようです。
このようにちょっとしたことで、液漏れは起こってしまいます。しかし、逆に言えばこの5つの状態を避けることで液漏れの多くは防げるのです。それほどややこしいものでもないので、ぜひ覚えておいてくださいね(*・∀-)☆
まとめ。
おつかれさまでした~!最初はもっとコンパクトにまとめるつもりだったんですが、書き始めるとあれもこれもと追加してしまい、結構な量になってしまいました。こんなところまで読んでくれて、ありがとうございます。
最後におさらいも兼ねて、箇条書きでおまとめしておきます。
すでに液漏れが起こってしまったものは仕方ありませんが、今後また起こさないようにすることが大切だとわたしは思います。そのためも使用頻度の下がりそうな家電やおもちゃからは、その都度電池を抜くように心がけたいものですね(*´∀`*)ゞ