お家のお掃除に便利ということで、人気の高い「過炭酸ナトリウム」。テレビや雑誌のお掃除特集あたりでよく登場していますね。
ちなみに、お掃除の友としてもっと以前から親しまれてきたのは「重曹」です。おばぁちゃんの知恵的な使い方で重宝されてきました。
それにしても、このふたつって一体どのような違いがあるのでしょうか?見た目はどちらも白い粉なので、イマイチよくわかりませんよね。
ということで今回は、「過炭酸ナトリウムと重曹の違い」についてわかりやすく説明していきたいと思います。
それぞれの特徴と得意分野を理解して、適材適所の使い方をマスターしちゃいましょう!
過炭酸ナトリウムと重曹の特徴をざっくりと。
まずはこちらの表をご覧ください(´・∀・)ノ゚
内容 | 過炭酸ナトリウム | 重曹 |
---|---|---|
アルカリの強さ | 強い | かなり弱い |
酸性汚れの洗浄力 | 強い | 弱い |
溶けやすさ | 溶けやすい | 溶けにくい |
発泡作用 | 強い | 弱い |
殺菌・漂白効果 | あり | なし |
食べられる? | 食べられない | 食べられる(食用グレード) |
脱臭効果 | あり | あり |
肌への刺激 | 強い | 弱い |
手袋の必要性 | 必要 | 長時間なら必要 |
そこそこ強いアルカリ剤で、殺菌・漂白作用があるハイブリッドな存在。水には溶けるが食べちゃダメ。発泡作用あり。
※ 重曹には食べられないものもあります。詳しくは下の方で解説しています。
【重曹の特徴】
とっても弱いアルカリ剤で水に溶けにくい性質。食べても平気。発泡作用あり。
どちらもアルカリ剤の仲間なので、アルカリ剤としての特徴は共通しています。しかし、表にもある通り重曹はとても弱いアルカリなので酸性汚れの分解にはそれほど力を発揮できません。
つまり、アルカリ剤の特徴を活かした掃除や洗濯に使うのであれば、過炭酸ナトリウムの方が向いていることになります。実際はアルカリ剤の特徴と言うよりも、発泡力や殺菌・漂白作用をメインとした使われ方が多い印象ですが。
一方重曹は、粒子が細かい割には溶けにくいので、お掃除系で使う場合は焦げ落としなどの研磨剤として使われることが多いようです。
重曹の持ち味はどちらかと言うと、山菜のアク抜きやふくらし粉としてなど調理方面で活きてくることの方が多いですので、食品添加物的に使われる方が一般的と言えます。
ふたつの違いをざっくりまとめてしまうとこんな感じなります。同じアルカリ剤なので似ていそうなんですが、比べてみるとほとんど似ていないのがおわかりかと思います。
ここから先は、過炭酸ナトリウムと重曹についてさらに詳しく説明しているので、もっと詳しく知りたいという方なぜひ読んでみてくださいね!もうこれで十分だという場合は読み飛ばしていただいても大丈夫です(●´Д`●)
過炭酸ナトリウムについて詳しく解説!
過炭酸ナトリウムは炭酸ソーダという強いアルカリ剤に過酸化水素を反応させるとできる物質で、水に溶けるとそこそこ強いアルカリ性を示します。
どのくらい強いかと言うと、重曹の兄貴分であるセスキ炭酸ソーダより強いくらいです。でも、長男の炭酸ソーダよりかは弱いです(わかりにくいかな…)。
アルカリ兄弟の話はおいといて、先程から出てきている殺菌・漂白作用は、この過酸化水素が持っている特徴なのです。これで、過炭酸ナトリウムがハイブリッドである理由が明らかになりました。
炭酸ソーダ + 過酸化水素(殺菌・漂白作用) ⇒ 過炭酸ナトリウム
そんなハイブリッドな過炭酸ナトリウムを水に溶かすと、今度は炭酸ソーダと過酸化水素水に分解されます。さっきの逆パターンですね。
過炭酸ナトリウム ⇒ 炭酸ソーダ + 過酸化水素
過炭酸ナトリウムが溶けた水溶液は炭酸ソーダの特徴でアルカリ性になっているんですが、そのまま放っておくと過酸化水素がさらに分解され、水と活性酸素に分かれます。
過酸化水素 ⇒ 水 + 活性酸素
活性酸素の持つ強い酸化力は、雑菌やっつけるのはもちろんのこと、色素なども酸化して分解できるので、殺菌・漂白作用が得られるという仕組みです。
そして、もうひとつの特徴である「発泡力」。
先程お伝えしたように、過酸化水素はアルカリ水溶液の中で分解されていくわけですが、その時に勢いよくブクブクと泡立ちます。お湯で溶かすと分解が促進されるので、ブクブクがより一層力強くなります。
この泡がこびりついた汚れの隙間に入りこみ、ふわっと浮かせて落ちやすくしてくれるんですねぇ。ちなみに、重曹にも発泡する性質はありますが、過炭酸ナトリウムの方が強力です。
これらの特徴を活かした使い方としては、
などがあります(´・∀・)ノ゚
過炭酸ナトリウムの使い方のコツとしたは、40℃~50℃くらいのお湯を使うこと。これくらいの温度だと過炭酸ナトリウム分解が早く進むので、短時間のわりに殺菌・漂白の効果が高くなります。
ただし、温度が高すぎるのは逆効果。分解が早く進み過ぎると汚れが落ちる前に殺菌・漂白効果がなくなってしまいます(過炭酸ナトリウムが分解しきってしまうため)。ここは重要なので、ぜひ覚えておいてくださいね(`・ω・´)ノ
重曹について詳しく解説!
重曹は過炭酸ナトリウムと違い純粋なアルカリ剤です。あまり知られていませんが、重曹には純度によって工業用・医療用・食用に分かれています。
どれにしたらいいのか迷ってしまいそうですが、わたしたちがおうちで使う分には食用の重曹を選んでおけば間違いありません。食用だからと言ってお掃除に使えないというわけではないのでご安心ください。
パーケージのどこかに何用の重曹かは記載されているはずなので、購入する前に必ずチェックしてみてくださいね!
さて、すでにお伝えした通り重曹は食品添加物として重宝されてきました。
重曹の持つアルカリの性質が山菜の繊維を柔らかくし、アクが抜けやすい状態にしてくれるのです。ちなみに、葉物野菜に使ってしまうと柔らかくなり過ぎてしまうので注意が必要です。
また、重曹はふくらし粉として利用されてきましたが、これは重曹が分解された時に発生する二酸化炭素を利用した使い方です。
重曹 ⇒(加熱 or 酸性の水と混ぜる) 水 + 二酸化炭素
よくある疑問でベーキングパウダーと重曹はどう違うのか?というものがあります。答えとしては、ベーキングパウダーには重曹の他にクエン酸、酒石酸、クエン酸、リン酸カルシウムなどが添加されています。
これは、重曹だけを使った時に発生するマイナス面の影響を少なくするためです。具体的には、焼き上がりが黄色くなったり、苦味が出たりするのを抑えます。また、発泡作用を高める効果を狙ったものでもあります。
次はお掃除のお供としての重曹について。
重曹は弱いとは言え、立派なアルカリ剤なので多少の油汚れくらいなら分解することができます。ただ、水に溶けにくいのでどうしても研磨剤としての使い方の方が目立ってしまいます。
スプレーにして使うのであれば、分解力や水への溶けやすさを考えると、やはり「セスキ炭酸ソーダ」の方が適任と言わざるをえません。
ここでひとつ裏技をご紹介しましょう。
上の方でちょこっと出てきましたが、重曹は水に溶かして加熱すると、なんと炭酸ソーダに変化するのです。
炭酸ソーダはアルカリ兄弟では最強のアルカリ剤なので、この水溶液を冷まして使えば、バッチリ油汚れなどを分解することができます。
重曹そのものではあまり使えないかもしれませんが、こうすると一気にパワーアップさせることができますよ(*・∀-)☆
注意点としては、アルミのお鍋は使わないこと。これをしてしまうと、アルミ鍋とアルカリが反応してアルミ鍋が変色(腐食)してしまいます。過炭酸ナトリウムを含むアルカリ剤を加熱する場合は、ステンレスやホーローのお鍋が適任です。
実は、この他にも重曹には様々な使い方があります。歯磨き粉だったり、入浴剤だったり、詳しく書き出せばどんどん長くなってしまうので、今回はこのあたりでやめておきますね。
重曹の特徴はこの汎用性の高さにあるのかもしれません。それでも全体的に見ると、やはりお掃除というよりも食品添加物的な位置づけにあるように感じます。
過炭酸ナトリウムと重曹を混ぜるとどうなる?
この記事を書くにあたりいろいろ調べていると、過炭酸ナトリウムと重曹を混ぜるとどうなるのか?という疑問がチラホラ目に入りました。
この使い方は、過炭酸ナトリウムを使ったカビ取りペーストに使われることが多いようですが、どうやら過炭酸ナトリウムの酸化力を高めることが狙いのようです。
というのも、過炭酸ナトリウムが溶けた水はアルカリ性になりますが、そこに重曹を混ぜることにより、アルカリ度が高くなるからです。
アルカリ度が高くなると、過炭酸ナトリウムの分解は促進されるので、短時間で殺菌・漂白することができます。また、皮脂汚れなどの分解力も多少は上がると思われます。
まとめ。
おつかれさまでした!詳しく説明しようと思うとどうしても長くなってしまいますね~。なんとなくでもご理解いただけたでしょうか。
● 重曹は、食品添加物的な立ち位置。お掃除に使うなら研磨剤として。
これだけでも覚えけば、いざ使う時に迷わないかと思います。
アルカリ剤の性質を理解すれば、お掃除はほんとうに楽になりますよ(●ゝ艸・)((*´∀`))